The closed list
先に、お断りできる場合を全部書きます。
旅館業法第5条に並んでいる四つです。うちが選んだ四つではなく、法が 決めた四つで、足すことも、広げることもできません。文はうちの言葉で 書いています ── 条文そのものを原文で当たれていないからです。
第1号 特定の感染症にかかっている方
法が名前で決めている感染症について、その患者等であるときです。風邪や熱、咳のある方すべてのことではありません。熱があるのでどうしようと言われて断ったことは、この宿では一度もありません。
使ったことがありません
第2号 賭博その他の違法な行為、風紀を乱すおそれがあるとき
部屋を賭場にする、ほかのお客や近所に手を上げる、といったことです。見た目や職業や連れている人で判断する号ではありません。
使ったことがありません
第3号 負担が重すぎる要求を繰り返されたとき
同じ求めを繰り返して帳場の仕事を止めてしまう、という場合です。一度の無理なお願いのことではありません。できないことは、できないとお答えします。
使ったことがありません
第4号 客室に余裕がないとき
三室が埋まっている夜です。この宿がお断りするのは、ほぼこれだけです。号には「その他、都道府県が条例で定める事由」も続いていますが、その中身を原文で確かめていないので、うちはそれを理由に断ったことがありません。
この宿が使う号
この四つに無い理由では、お断りできません。好みでそうしているのではなく、旅館業法第5条がそう決めています。
May I stay
泊まれるか しらべ
断られそうだと思っていることを選んでください。答えはほとんど 「泊まれます」です ── 親切でそうしているのではなく、選ばれた理由が 四つの号に無いからです。「いいえ」が出るところは一か所しかなく、 それは理由を選ぶところではありません。
泊まれます。二名の部屋にひとりでお泊まりいただけます。ひとりであることは、第5条のどの号にもありません。
空いている部屋があるかぎり、下のどの理由でもお断りできません。
Rooms
数えているのは、室だけです。
お客の属性を数えていません。数えているのは、今夜まだ空いている部屋の 数です。それが、お断りできる唯一の事実だからです。
- Rooms
- 3室
- Beds
- 7名
- Reset
- 10時
全部です。増えません。
三室を合わせた定員です。
埋まった部屋は、翌日の朝十時に全部戻ります。繰り越すものは何もありません。
三室で許可が取れるのは、2018年6月15日の改正で最低客室数が廃止されたからです。それまでは旅館営業に五室、ホテル営業に十室が必要でした。同じ日に、住宅宿泊事業法(民泊)も施行されています。
一客室の床面積は7㎡以上、ただし寝台を置く客室は9㎡以上と決まっています。基準が替わるのは部屋の格ではなく、寝台を置いたかどうかです。うちは二室に寝台を置き、一室は布団なので、同じ宿の中に基準が二つあります。延床面積33㎡という数を見かけますが、あれは簡易宿所営業の基準で、この宿のものではありません。
The three
三室。選べません。
空いている部屋をお出しします。写真も、部屋ごとの値段もありません ── 選べるようにすると、満室でない夜にもお断りすることになるからです。
一階
土間の間
- 広さ
- 9.2㎡
- 寝床
- 布団を二組
- 定員
- 二名まで
- 基準
- 布団なので、基準は7㎡
廊下との段差が2cmだけの部屋です。階段を使えない方のお申し出があったときは、この部屋を先にお取りします。先にほかの予約が入っていれば、空けることはできません。
二階
表の間
- 広さ
- 12.6㎡
- 寝床
- 寝台を二台と、足せる布団を一組
- 定員
- 三名まで
- 基準
- 寝台があるので、基準は9㎡
通りに面した側。朝は六時ごろから明るくなります。三人目は布団になります。
二階
奥の間
- 広さ
- 9.4㎡
- 寝床
- 寝台を一台
- 定員
- 二名まで
- 基準
- 寝台があるので、基準は9㎡
階段を上がって突き当り。窓は路地に向いていて、一日ほとんど日が入りません。そのぶん静かです。二名のときは寝台のほかに布団を一組敷きます。
Why
許可のこと
この建物に人を泊めてよい、という許可です。届出ではありません ── 旅館業法の許可で、泊められる日数に上限はなく、代わりに客を選べません。
お断りできる場合は、四つだけです。
旅館業法第5条が、宿泊を拒んではならないと決めていて、拒める場合を号で並べています。号に無い理由では断れません ── 見た目、国籍、言葉、障害、年齢、連れている方、入れ墨、ひとりであること、どれも号にありません。第5条には第2項もあって、断るときの判断のしかたと、理由の説明について定めています(逐語は当たれていないので、うちの言葉で書いています)。断るときは、号の番号を申し上げます。
名簿に書いていただくことと、書いていただかないこと。
第6条で宿泊者名簿を備え付けます。書いていただくのは、お名前・ご住所・連絡先です。職業も、泊まる目的も伺いません。日本国内に住所のない外国籍の方には、国籍と旅券番号を書いていただき、旅券の写しをいただきます。日本国内に住所のある方に、身分証をお見せいただくことはありません。
帳場に人を置いています。機械にしていません。
2018年の改正で、玄関帳場は一定の条件のもとでICTの設備に代えられるようになりました。うちが人を置いているのは、おもてなしの方針ではありません ── 断れるかどうかを判断して、その理由を説明するのが第5条の仕事で、それは人の仕事だからです。鍵は手で渡します。七時から二十四時まで、それ以降に着く夜は前の日までにお知らせください。
朝食を出せるのは、許可が二枚あるからです。
旅館業の許可に、食事を出す許しは含まれていません。人に食べさせるものを作って出すには、食品衛生法の飲食店営業許可が別に要ります。うちはそれを受けているので、朝食をお出しできます。受けていない宿は出せません ── 同じ界隈で、台所だけ貸して食事は出さない家があるのは、方針ではなく紙の違いです。
風呂は、泊まる方だけです。
二階の風呂は宿泊者のもので、お泊まりにならない方の入浴はお断りしています。外の方を入れるには、公衆浴場法の許可が別に要るからです。断っているのは宿泊ではないので、第5条の号とは関係がありません ── 持っていない紙の話です。
できないことは、できないと書きます。
2024年4月1日から、事業者が障害のある方に合理的な配慮をすることが法律上の義務になりました。義務なので、やさしさとして書きません。この宿にできないことは、二階への昇降機、介助、点字の掲示です。できることは、一階の部屋を先にお取りすること、玄関に渡し板を掛けること、風呂に椅子を入れること、このページの文をそのまま読み上げることです。できないことを数えて先に書くのが、いまのところ、うちにできるいちばん正確な配慮です。
※ 条番号を書いてあるのは、法の第5条と第6条だけです。構造設備の基準 (一客室の床面積など)は施行令で決まっていますが、その条番号は原文で 照合できていないので書いていません。第5条の各号の文も、うちの言葉です。
Cannot
できないこと
宿にできないことです。お泊まりをお断りする理由ではありません ── 断れる理由は、上の四つしかありません。
部屋を選ぶこと
空いている部屋をお出しします。選べるようにすると、満室でない夜にも断ることになります。
二階へ上がる昇降機
ありません。一階の土間の間が空いていれば、そちらをお取りします。
介助
身体を支えること、薬を飲ませること、食事を口に運ぶことはできません。
日帰りの入浴
公衆浴場法の許可がありません。風呂は泊まる方だけです。
ペットのお預かり
できません。補助犬はペットではないので、同伴をお断りすることはありません。
夕食
朝食だけです。台所はお貸しできません ── 宿の調理場は許可を受けた場所で、お客に使っていただける場所ではないからです。
Tariff
料金
- 素泊まり
- 8,800円一名一泊(税込)
- 朝食
- 1,100円一名(税込)
部屋による差はありません。選べないものに値段の差を付けないためです。前払いでいただきます。小学生以下は布団と朝食のぶんだけ、半額でいただきます。
Guests
泊まった方から
断る理由が四つしかないと、紙に貼ってありました。
車椅子で入れる宿を探すとき、いつも先に電話で確かめます。ここは一階が空いていなければ泊まれないとはっきり書いてあって、その夜は空いていなかったので別の宿に泊まりました。次の月に泊まれました。
満室だと言われたとき、号の番号を言われました。
第4号です、と。そのあと近所の宿を調べて、紙に書いて渡してくれました。断られたのに、理由が自分のことではないとはっきり分かったのは初めてでした。
Questions
よくある問い
- 満室のとき、常連の方を先に入れていますか。
- していません。先に申し込まれた順です。常連であることは第5条の号ではないので、断る理由にも、入れる理由にもできません。順番はそれだけです。
- どんな理由でも泊まれるのなら、ほかのお客が困りませんか。
- 困ることが起きたときに使える号は、第2号と第3号です ── 手を上げる、賭場にする、帳場の仕事が止まるほど同じ求めを繰り返す。起きる前に、その人が起こしそうだと見て断ることはできません。この二つの号を、入口で使える号として書いてある宿があれば、それは号の読み違えです。
- 民泊とは、どう違うのですか。
- 紙が違います。民泊(住宅宿泊事業)は届出で、泊められるのは年に百八十日まで。あちらが守っているのは「ここは住宅である」ことです。うちは旅館業法の許可で、日数の上限はありません ── 代わりに、客を選べません。同じ日、2018年6月15日に、民泊の届出が始まり、旅館の最低客室数が無くなりました。
- 三室だけで、旅館と名乗れるのですか。
- 名乗れます。2018年6月15日の改正で、旅館・ホテル営業の最低客室数が廃止されました。それまでは旅館営業に五室が必要でした。一客室の床面積(7㎡以上、寝台を置く部屋は9㎡以上)の基準は、いまもあります。
- 界隈の宿とは何が違いますか。
- この町には簡易宿所営業の宿が何軒もあります。同じ旅館業法の、別の営業種別です。簡易宿所は泊まる場所を多人数で共用する造りで、基準の立てかたも違います。どちらが上という話ではなく、受けている許可が違います。
- 予約せずに行っても泊まれますか。
- 空いていれば泊まれます。帳場は七時から二十四時までです。三室しかないので、埋まっていることはよくあります ── そのときは第4号をお伝えして、近くの宿をお調べします。
- 断られたことがある宿があって、心配です。
- 断るときに宿が言えるのは、四つの号のどれかです。番号も、その号に当たると判断した事実も、お尋ねになってかまいません。うちで断るのはほぼ第4号 ── 満室 ── だけで、そのときは号の番号を先に申し上げます。
About the photograph
- この一枚は借りものの写真で、日本堤のこの宿ではありません。撮影地は公開されていません。
- ですから、この部屋を指して「ここがいい」とおっしゃることはできません。うちの三室のどれでもないからです。部屋は選べません ── 選べるようにすると、満室でない夜にもお断りすることになります。
- 壁の窪みに写っている、鳥が飛んでいる形の彫りものは、よその宿のものです。うちの飾りではありません。
- 写っている部屋は、うちのどの部屋よりも広く、天井も高く見えます。うちの三室は9.2㎡・12.6㎡・9.4㎡で、床は畳か板です。この一枚を見て広さを思わないでください。
- 寝台は写っているとおり一台ですが、うちで寝台を置いているのは二室だけで、一室は布団です。置いた部屋と置かない部屋では、法が求める床面積が違います。
- 許可証は写っていません。旅館業の許可証は帳場に掲げていますが、借りものの一枚に写っているはずがありません。
Photo: Vojtech Bruzek / Unsplash
